Talbotized 001. 2012

Talbotized 008, 2012

Talbotized 002, 2012

 

Talbotized

 

 

ネガポジ法写真の発明者、フォックス・タルボットは、1820年代後半、盟友マイケル•ファラデーと共に、静電気の性質に関しての実験を写真研究とほぼ同時に行なっていた。このワンドと呼ばれる真鍮とガラス製の棒は、電極の端子として、タルボットによって放電実験に使われていたものである。私はタルボット家が数世代に渡って保管しているこの電極棒を借りて、タルボットが行なっていた実験を、私の暗室内で継続することをタルボット家に提案し、快くこの提案は受け入れられることとなった

 

私はタルボットが開発した感光材であるフイルム上に、直接静電気を放電させ、その光りの奇跡を捉えるという試みを5年間に渡って続けてきたが、タルボットその人が使用した実験具を使って、この実験を続けられることは、この上ない光栄である。私は180年程前の、写真と科学の泰明期の溌剌とした精神が、私の体内に充満してくるのを感じる。

 

—杉本 博司