Carpenter Center, 1993

U. A.  Play House, 1978

 

劇場

Cinerama Dome, 1993

 

 

私には自問自答の習癖がある。自然史博物館の撮影を始めた頃のある晩、私は半覚醒状態である一つの
ビジョンを得た。そのビジョンに至る自問はこうであった。「映画一本を写真で撮ったとせよ。」そして自答は次のようであつた。「光輝くスクリーンが与えられるであろう。」私はさっそく与えられたビジョンを現実に起こすべく、実験に取りかかった。イーストビレッジの1ドル劇場に、旅行者を装って大型カメラを持ち込むことに成功した。映画が始まったのでシャッタアを開けた、絞りは取りあえず全開だ。2時間後、映画の終わりと共にシャッタアを閉じた。その晩、現像をした。そしてそのビジョンは、赫葯として私の瞼の裏に昇った。



 

- 杉本博司