冬至光遥拝隧道

 
 

一年で最も日照の短い日。冬至は一年の終点でありまた起点である。 この特別な一日は、巡り来る死と再生の節目として世界各地の古代文明で祀られてきた。 日が昇り季節が巡り来ることを意識化し得たことが、人類が意識を持ち得たきっかけとなった。この「人の最も古い記憶」を現代人の脳裏に蘇らせるために、当施設は構想された。冬至の朝、相模湾から昇る陽光は70メートルの隧道を貫き、対面して置かれた巨石を照らし出す。

隧道の中ほどには採光の為の井戸が設置されている。井戸枠はその鑿痕から中世のものと判断される。井戸枠の内には光学硝子破片が敷き詰めらる。雨天時、雨粒の一滴一滴が井戸に降り注ぐのが目視できる。

 

 

-  杉本博司